北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が5日に開幕した第8回党大会で、「国家経済発展5ヵ年戦略の実行期間が昨年終わったが、掲げた目標はほぼ全ての部門で途方もなく未達となった」と失敗を認めた。労働党最大の政治イベントであり、成果をアピールしてきた党大会で、正恩氏が経済の失敗を異例にも強調したのは、制裁に続き新型コロナウイルスで決定的な打撃を受けた北朝鮮の経済がそれだけ深刻な状況であることを物語る。専門家たちは、最悪の経済難を経験した1990年代の苦難の行軍の時より経済が後退した可能性があると見ている。
●経済の失敗を認めた正恩氏、大々的な処罰を予告
6日、北朝鮮の朝鮮中央通信によると、正恩氏は5日、党大会の開会の辞で、「かつてない最悪の状態が続いた難局は、私たちの革命の前進に大きな障害をもたらした」と明らかにした。「社会主義の建設で絶え間ない新たな勝利を勝ち取るために闘争する私たちの努力と前進を妨害し阻害する各種挑戦は、外部にも内部にも存在している」とも述べた。昨年の新型コロナウイルスと台風など自然災害、制裁という三重苦を経済失敗の主要原因に挙げたのだ。
三重苦の影響で、2016年の第7回党大会で提示した経済発展5ヵ年戦略の最終年だった昨年、北朝鮮の経済難は極度に悪化した。制裁で輸出入が制限された状況で、新型コロナウイルスのために支援国の中国だけでなくロシアとの貿易、支援まで行き詰まり、中国の輸入財・資本財に依存した北朝鮮内の産業が打撃を受けたという。自然災害で肥料の供給がスムーズにいかず、農業生産量も急減した。このため、党大会前に行われた「80日戦闘」も感染対策と災害復旧に集中するほかなかった。朝鮮大学院大学の梁文秀(ヤン・ムンス)教授は、「対外貿易が1年近く途絶え、北朝鮮の経済全般が連鎖的に打撃を受けるほかない状況」とし、「金正恩時代を牽引した市場化まで悪影響を受け、成長動力が崩壊した」と指摘した。
正恩氏は、「現存する多くの難関を最も確実に且つ最も早く突破する妙術は、まさに我々自体の力、主体的な実力をくまなく強化することにある」とも述べた。三重苦による国際的孤立のために外部投資や技術導入が不可能なため、内部資源と労働力を総動員する苦肉の策の自力更正基調を継続するということだ。正恩氏が6日に発表したとみられる今後5年間の経済発展計画にこのような方向が含まれたと予想される。
正恩氏は、経済の失敗を現場の幹部の責任で処理し、大々的な処罰があることも予告した。正恩氏は、「非常設中央検閲委員会を組織し、実態を誤ったのは何か、その原因は何かなど真相を透視した」と強調した。統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北朝鮮研究室長は、「正恩氏が新しい検閲組織を作り、大々的な組織改編と人的交代という総入れ替えの大義名分を作る狙いがある」と指摘した。
●核・ミサイルの誇示のない開会の辞
政府は、正恩氏が開会の辞に核とミサイル開発の成果を具体的に言及しなかったことに注目している。5年前の第7回党大会の開会の辞で、光明星4号と呼ばれる長距離ロケットと初の水素弾実験の成果を誇示したのとは対照的だ。ただし、「祖国と人民の運命を守れる強力な保証を整えた」という正恩氏の発言で、「強力な保証」は戦略兵器を暗示したとみられる。
正恩氏は6日、米国のバイデン次期政権と韓国政府を念頭に置いたメッセージも発表したと推測されるが、北朝鮮メディアはまだ党大会2日目の結果を公開していない。朝鮮中央通信は、正恩氏が「祖国統一の偉業と対外関係を進展させる重要な問題を提起するだろう」と予告した。
權五赫 hyuk@donga.com