在韓米軍の駐留経費負担割合を定める特別措置協定(SMA)の交渉が、バイデン米大統領の就任後、弾みがついている。SMAは、トランプ前大統領の在任中、米国の無理な増額要求で長期膠着状態だったが、ホワイトハウスの主人が変わった後、韓米両国は「早急な妥結」で意見が一致した。さらに、バイデン氏が4日(現地時間)、ドイツに駐留する米軍の削減計画を凍結すると表明し、在韓米軍の縮小説もしずまる見通しだ。
外交部は5日、第11回韓米SMA締結に向けた第8回会議を遠隔で行ったと明らかにした。バイデン氏の就任後、両国が初めて行う公式の会議だ。会議には、SMA交渉の韓国代表を務める鄭恩甫(チョン・ウンボ)交渉大使と米国務省のドナ・ウェルトン交渉代表、在韓米軍司令部および両国の国防関係者が参加した。外交部は、「両国がこれまでの意見の相違を解消し、相互に受け入れ可能な合意に向けて真剣に議論した」と伝えた。また、「早急にSMAを妥結することで、韓半島および北東アジアの平和・繁栄の核心軸(linchpin)としての韓米同盟と連合防衛態勢の強化に貢献していくことで意見が一致した」と付け加えた。
韓米は昨年3月、2020年の在韓米軍駐留経費の負担を前年度の負担1兆389億ウォンから13%引き上げる案で暫定合意した。しかし、トランプ氏は、「米国は韓国にもっと多くの(負担)割合を求めている。韓国は裕福な国」として暫定合意を拒否して増額を迫った。その後、米国が5割の引き上げを主張し、両国は交渉の突破口を見出すことができなかった。
膠着した韓米間交渉がバイデン氏が就任して約半月後に再開したのは、韓米同盟の強化に障害になる懸案を早期に解決するという考えによるとみられる。
韓米が第8回会議を開き、負担額は昨年に暫定合意した13%引き上げ水準で妥結する可能性がある。政府関係者は、「トランプ氏が拒否する前に両国が合意した負担額を基盤に交渉を始め、いくつかの分野で進展している。合理的に決定されるだろう」と話した。
バイデン政権の発足後、SMAに弾みがつき、ホワイトハウスの在韓米軍政策にも変化が予想される。バイデン氏は4日(現地時間)、ワシントン国務省庁舎を訪れ、「オースティン国防長官が世界に展開する米軍の態勢の見直しを進める。ドイツに駐留する米軍の削減計画も当面は停止する」と述べた。昨年7月にトランプ氏が、ドイツの国防費支出規模に不満を抱いて在独米軍の約3分の1を撤収または再配置すると明らかにしたが、バイデン氏はこれを直ちに凍結した。このため、在韓米軍撤収を負担額引き上げの圧力カードに使ったトランプ氏と違って、バイデン氏は在韓米軍を現状維持する可能性が高いという観測が流れている。
一方、米国務省は4年間空席の北朝鮮人権特使を任命することを検討している。国務省報道官室関係者は4日(現地時間)、米政府系放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)に、政策検討の一環として関係省庁と政権の外交政策の優先順位に合わせて、特使ポストの問題を検討する」とし、「これには北朝鮮人権特使も含まれる」と明らかにした。2017年1月にロバート・キング特使が退いて以降、北朝鮮人権特使はトランプ政権の間、空席だった。
崔智善 aurinko@donga.com