「韓国の読者に特に感謝しています。進んでいる道が正しいか悩んでいた時、私たちが作ったパンとビールを愛してくださって大きな力を得ました」
世界の基準とは異なる方法で幸せを見つけた人々。小麦粉と天然水、野生酵母でパンを作るパン屋「タルマーリー」についての本『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(ザ・スプ)で話題を集めた渡邉格(51)、麻里子(44)夫妻が2日、韓国を訪れた。同書は日本でベストセラーとなり、2014年に国内でも出版されて6万部以上売れた。
昨年11月には『菌の声を聴け』が国内で出版された。韓国の読者に会うために訪韓した渡邉さん夫妻は5日、東亜(トンア)日報のインタビューで、「パン屋の前は毎朝、店を訪れる大勢の読者でいっぱいだった。特に韓国から来た人々が記憶に残っている」と話した。
「稼げる機会でしたが、2014年10月頃に店を閉めました。クラフトビールを作るという新しい夢ができました。パン屋にはビールの設備が入る場所がなく、愛着がありましたが後ろを見ずに店を閉めました」(格さん)
新刊には、パン屋を閉めた後、新たな田舎に定着して自家製ビールを作った話が盛り込まれた。ビール工房の土地を探していた夫妻に手を差し伸べたのは、消滅危機にあった小さな田舎の集落。鳥取県の智頭町で、旧公共保育園を紹介された。格さんは、「私たちはクラフトビールとパンを作る空間を得ることができ、集落は地域経済が活性化して、互いに肯定的な好循環が形成された」と話した。
夫婦はビールも「儲け」が目的ではないという。ビール業界が使わない乳酸菌を活用してビールを熟成させる。ビールは熟成用の樽に半年以上寝かせる。この期間はビールを売ることができず損だが、金より品質を選んだ。麻里子さんは、「世界には遅くて非効率的でも、真心を込めた食べ物が必要だ」と話した。
「私たちの方法は長い時間がかかります。しかし、自然を損なうことなく地域社会と共生します。こうして作ったビールとパンを信じ、支えてくれる人たちが存在するので可能なことではないでしょうか」(麻里子さん)
イ・ソヨン記者 always99@donga.com