セクハラ疑惑で活動を中断した詩人の高銀(コ・ウン)氏(90)が、最近謝罪なしに新作詩集「無の歌」とカナダ詩人との対談集「高銀との対話」を出版し批判を浴びている中で、出版社「実践文学」社が20日、謝罪文を出し詩集の供給を中断すると明らかにした。しかし、いざ高氏は依然として沈黙を守っている。文学界の内外からは、高氏の自省を促す声が出ている。
実践文学社のユン・ハンリョン代表は20日に発表した声明の中で、「今回の事態によりご心配をおかけした方々に出版社の代表として深く謝罪する」と明らかにした。その上で「詩集は17日から供給を中断し、季刊誌『実践文学』もすでに原稿の要請が終わった2023年春号まで正常発刊し、自粛の意味で今年末まで休刊する」と話した。
ただ、ユン代表は、「国内のすべての書店からの高銀氏の詩集注文に応じておらず、供給していない」としながらも、「供給中断は、世論の圧力に出版の自由を放棄しなければならないのかに対する決定が出るまで継続する」と明らかにし、供給再開の余地を残した。また、ユン代表は、詩集と共に議論になった対談集「高銀との対話」については言及しなかった。
ユン代表は、セクハラ疑惑の暴露後、何の釈明や謝罪もなかった高詩人の詩集を発刊することになった背景についても釈明した。ユン代表は、「自然人なら誰でも持つ憲法的基本権としての出版の自由と、高銀氏と実践文学社との間の生まれながらの縁があった」とし、「このような本社の出版の狙いとは異なり、詩集は現在世論の批判に直面している」と話した。実践文学は、1980年、高氏らを中心に創刊された。1995年に株式会社に転換され、現在ユン代表が大株主となっている。
これに先立って、高氏は2018年、詩人の崔泳美(チェ・ヨンミ)氏が東亜(トンア)日報を通じてセクハラ疑惑を暴露すると、活動を中断した。以後、崔氏と東亜日報を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたが、1審と2審で敗訴した。実践文学社が高氏の詩集と対談集を相次いで出版すると、文壇の内外からは高氏の「謝罪のない復帰」に対する批判が相次いだ。実践文学社の編集諮問委員である中央(チュンアン)大学文芸創作科のイ・スンハ教授は19日、オンライン文学専門誌「ニュースペーパー」に掲載した文を通じて、「高銀氏に必要なのは、自己反省と謝罪だ」と指摘し、編集諮問委員の辞任の意思を明らかにした。
チェ・フンジン記者 choigiza@donga.com