今月に入って、首都圏で伝貰(チョンセ=賃貸保証金)保証金を取られる危機に置かれた借家人が、保証金の回収のために暮らしていた家を競売申請する事例が先月より100件近く増えている。伝貰詐欺などで、家主から保証金を返してもらえなかった被害が増えた影響と見られる。
25日、競売情報会社ジジオークションによると、4月に首都圏で競売が行われている物件のうち、借家人が直接競売申請をしたケースが計230件で、先月(139件)に比べて65.5%増加した。借家人は通常、伝貰保証保険に加入していない場合、家主が保証金を返さない時に住んでいた家に対して競売を申請する。競売を通じての保証金回収が、事実上唯一の救済方法であるためだ。
ソウルで借家人が競売を申請した件数は150件で、3月(75件)の2倍に増えた。昨年12月(43件)と比べると、4ヵ月間で3倍以上に増えている。伝貰詐欺の被害が集中した仁川(インチョン)は今月、借家人の競売申請件数が28件で前月(16件)比75%増加した。
首都圏の借家人の競売申請件数は毎年増え、2018年の375件から昨年は978件へと4年間で2.6倍になった。今年に入ってからは今月までで、昨年の物量の半分を超える547件(55.9%)が申請された。
最近の住宅価格の下落で、借家人がいる競売物件はほとんど落札されず、やむを得ず借家人が「セルフ落札」を受けるケースも増えている。首都圏で借家人が住んでいた家を落札した事例は、2020年の45件から2021年は73件、昨年は105件で毎年増加傾向にある。
カントン伝貰(担保割れ住宅)やセルフ落札は、長期間続く見通しだ。住宅価格と伝貰保証金が下落し、借家人を探すのが難しくなる「逆伝貰難」が随所で続出しているためだ。この日、不動産仲介業者のジップトスが、国土交通部の実取引価格の公開システムを通じて全国住宅の伝貰・月貰(ウォルセ=月払い家賃)取引を分析した結果、今年第1四半期(1~3月)に行われた更新契約の中で、直前契約より価格を下げて契約した割合は25%と集計された。国土交通部が関連資料を公開し始めた2021年以降、最も高い。
国土部の元喜龍(ウォン・ヒリョン)長官は同日、ソウル江西区(カンソグ)の伝貰被害支援センターを訪問し、「27日に伝貰詐欺支援特別法案を発議し、27日や28日の国会での可決を目標にしている」とし、「与野党間の異見が大きくなく、発議するやいなや可決する非常に異例の立法が可能かもしれない」と話した。また、5兆5000億ウォンの水準に策定された韓国土地住宅公社(LH)の買入賃貸住宅の予算について、「必要ならば、いくらでも再び増額できる。財政当局とは話がついている」と述べた。
ソン・ジンホ記者 jino@donga.com