工場で日雇いとして働くキムさん(22)は先日、妊娠中に不足する生活費を賄うため3200万ウォンの融資を受けた。信用度の低いキムさんは、メインバンク以外の銀行のドアを叩いて受けた融資だけで4件。キムさんは「月収250万ウォンから70万ウォンを借金返済に使っている」とし、「残業と特別勤務をまとめて引き受けて、かろうじて持ちこたえているが、仕事が切れたら生活が苦しくなる不安だ」と話した。
新型コロナウィルスが世界的に大流行した時期に急激に増えた借金を返済するため、最小限の生計もやりくりするのが大変な人たちが300万人に迫る。このうち175万人は所得を全てつぎ込んでも元金返済額を払えないことが明らかになった。最近、家計向け融資の延滞率が上昇し、金融不安が拡大している中、ベルトを締めるしかない消費状況のため、下半期(7~12月)の景気回復はさらに遅れるだろうという悲観的な見方が出ている。
2日、韓国銀行が国会企画財政委員会所属で活躍する最大野党「共に民主党」の梁敬淑(ヤン・ギョンスク)議員に提出した資料によると、今年3月末基準で国内の家計向け融資を受けた人は1977万人で、融資残高は1845兆3000億ウォンだった。昨年末より融資を受けた人と融資残高が、それぞれ4万人と15兆5000億ウォン減ったが、減少率はそれぞれ0.2%と0.8%に過ぎなかった。
融資を受けた人全体の総負債元金返済比率(DSR)は40.3%だった。今年第1四半期末に国内の家計向け融資を受けた人は平均的に年収の約40%を借金返済に使わなければならないことを意味する。
特に家計向け融資を受けた175万人は、元金返済額が所得とほぼ同じか、所得を上回った。DSRが100%を超える人は融資を受けた人の8.9%で、2020年第3四半期(7.6%)以降増続けている。
DSR70%以上の区間を含めた融資者の数は299万人まで増える。通常、当局や金融機関などはDSRが70%を超えれば、最低生計費を除いた所得の大半を元金返済に当てなければならないとみなす。約300万人に達する融資者が借金を返済するために生計に困難を感じているわけだ。彼らが受けた融資が全体融資残高に占める割合も41.4%に達する。
梨花女子大学の石秉勲(ソク・ビョンフン)経済学科教授は、「韓国の家計負債規模はすでに限界に達した状況だ」とし、「融資の質も急速に悪化しており、金融の不健全化を防ぎ脆弱階層の被害を最小化するための精巧な対策を打たなければならない」と指摘した。
キム・スヨン記者 ソン・ヘミ記者 syeon@donga.com · 1am@donga.com