「1923年の関東大震災当時、沖縄の人々は日本本土の人々に殺された被害者だった。しかし、同時に自警団として活動し、(虐殺の)加害者にもなった」
沖縄文学を代表する日本人作家、目取真俊さん(62)は11日、ソウル市中区の韓国プレスセンターで開かれた記者会見でこのように語った。罪のない朝鮮人たちが犠牲になった関東大震災の時、沖縄の人々には被害者と加害者という2つの姿があったと自省の声を上げたのだ。目取真さんは、「沖縄の人々は本土の日本人より階層が低く、本土の日本語を上手に話せず、朝鮮人だと疑われて死ぬこともあった。しかし、本土の日本人に差別されることを恐れて朝鮮人を差別する側に立った沖縄の人々の二重性も直視しなければならない」と述べた。そして、「歴史の加害者にならない努力を皆がしなければ、いつか加害者になる」と強調した。
目取真さんは、1960年に沖縄で生まれ、97年に長編小説『水滴』で直木賞と並ぶ日本最高権威の文学賞である芥川賞を受賞した。2000年『魂込め(まぶいぐみ)』で川端康成賞も受賞した。
目取真さんは、関東大震災当時の朝鮮人虐殺を立証する記録がないという日本政府の立場も批判した。目取真さんは「100年前に日本人が朝鮮人を虐殺したのは歴史的事実」とし、「日本政府がこの事実について曖昧に話し、不利な点は言っていない」と指摘した。そして、「日本政府は植民地主義を合理化する歴史修正主義を日本軍慰安婦被害者問題にも適用している。このような態度を容認してはならない」と主張した。
目取真さんは、ソウル市恩平区(ウンピョンク)が主催する第7回「李浩哲(イ・ホチョル)統一路文学賞」本賞受賞作家に選ばれ、同日の会見に臨んだ。同賞は、失郷民(韓国戦争の際に、北朝鮮から韓国へ避難し、故郷に戻れなくなった人々)で、紛争と平和に関する小説を書いた李浩哲作家(1932∼2016)を記念して2017年に制定された。李浩哲統一路文学賞選考委員長のキム・ソンホさんは、目取真さんについて「植民地時代の差別と抑圧、米軍駐留問題など、沖縄が直面する権力構造の矛盾と不条理を批判し、文学的な昇華を実践するために努力してきた」と話した。
イ・ホジェ記者 hoho@donga.com