近くて遠い国、日本。釜山(プサン)から海を渡った日本の海岸には、人口が5万人余りの萩市がある。今は山口県に属しているが、日本の江戸時代には長州藩を治める藩庁があったところだ。「藩」とは、江戸時代に領主が治めていた地域のこと。
著者らは、この長州藩の発展を通じて、日本の近代史を解き明かす。長州は江戸時代、日本で4、5位内に入る経済力と軍事力を備えた大きな藩だ。吉田松陰や木戸孝允など、ここ出身の人々は明治維新に多大な功績を立てた。その後、大日本帝国の発展において中枢的な役割を果たした傑出した人物も輩出した。韓国の立場からは、侵略の元凶が大勢集まっていたところともいえる。著者らは、長州が発展する過程で犠牲になった韓国の姿を振り返り、根強い両国嫌悪の歴史を考察する。
第1~3章では、長州自体の歴史を深く盛り込んでいる。長州が拡張していった過程と、西洋がそれに及ぼした影響を振り返った。第4章では、韓国と日本の関係をより深く扱う。特に、江戸時代末期に登場した朝鮮侵略論である「征韓論」の台頭過程を掘り下げる。著者らは、三国時代以来、日本人に持続的に韓半島に対する恐怖と嫌悪があったからこそ、征韓論が可能だったと強調する。任那日本府説の形成過程を分析し、韓半島の嫌悪がどのような過程を経て侵略イデオロギーに進化したのかも調べる。日本史に慣れていないと流れについていくのが難しいかもしれないが、写真が豊富に収録されており理解を助ける。
崔智善 aurinko@donga.com