神政国家であるイランの最高指導者ハメネイ師が、最近イランを訪問したパレスチナ武装組織ハマスの政治部門最高幹部のイスマイル・ハニエ氏に、「イスラエルとハマスの紛争に介入しない」考えを明らかにしたと、英紙テレグラフなどが15日、報じた。これまでハマスを直接・間接的に支援してきたイランが、先月7日の紛争勃発後、初めて「介入不可」の考えを公式化したもので、大きな注目を集めている。
イランが介入しなければ、イスラエルとハマスの紛争が中東全体の紛争に広がる危険性も減るとみられる。すでにハマスは、拠点であるパレスチナ・ガザ地区に対するイスラエル地上軍の波状攻撃で大きな打撃を受けており、さらに勢力が弱体化する可能性も高い。
15日午前2時頃、ガザ地区のアルシファ病院を急襲したイスラエル軍は、病院内でハマスの作戦本部の存在を確認したとし、病院攻撃の正当性を繰り返し主張した。バイデン米大統領も「病院にハマスの施設がある」とイスラエルを擁護した。ハマスは、「イスラエルの虚偽の扇動」と反発した。
● ハメネイ師「通知なしの奇襲攻撃」を追及
テレグラフによると、ハメネイ師は最近イランを訪れたハニエ氏に会った席で、先月イスラエルを奇襲攻撃した際、イランに事前通知しなかったことを追及した。また、イランが介入する考えもないことを明らかにした。
ロイター通信も、ハメネイ師がイランはもとより、イランの支援を受けるレバノンのシーア派武装組織ヒズボラがハマスを支援して全面的に介入すべきという声がハマス内部から出ないようハニエ氏を圧迫したと報じた。ハニエ氏は今月初め、秘密裏にテヘランを訪れ、ハメネイ師などイラン首脳に支援を求めたという。
ヒズボラも、奇襲攻撃を全く認識していなかったことが分かった。あるヒズボラの指揮官はテレグラフに、「寝て起きたら紛争が起きていた」と述べ、ハマス側がヒズボラにも事前に通知しなかったことを明らかにした。
ただ、ハメネイ師は、イランが何らかの形でハマスを支援し続ける意向は示したという。ヒズボラなどを通じて中東内の米国およびイスラエル関連の主要施設をロケット、無人機(ドローン)などで攻撃することも含まれる。ハマスに連帯感を示すが、イスラエルや米国との直接対決には巻き込まれないようにする動きとみられる。
● イスラエル「病院攻撃を正当化」
イスラエルは15日、ガザ地区内の最大医療機関であるアルシファ病院がハマスの作戦本部として使われたことを確認したと明らかにした。イスラエル軍は声明を通じて、「病院敷地内のある建物でハマスの作戦指揮所に使われた部屋を見つけた」と明らかにした。MRI撮影センターでも作戦情報が入ったコンピューターと、AKライフル、弾薬、手榴弾などが発見されたとし、関連映像も公開した。
これは、アラブ圏など国際社会が、「イスラエルが民間医療施設まで攻撃し、パレスチナ民間人の犠牲者が急増した」と批判していることへの対応とみられる。バイデン氏も、「病院にハマスの施設がある」と述べたが、ハマスは「虚偽の扇動」と否定した。
ただし、イスラエル軍が公開した関連映像に対する論議は依然として続いている。「無削除、無編集」という当初の主張とは異なり、一部の画面をモザイク処理した後、再公開したためだ。
双方の攻防の中でも、ハマスが捕らえたイスラエルの民間人人質を解放し、一時停戦を結ぶための交渉は加速している。米紙ニューヨーク・タイムズなどは、双方が3日間の停戦を条件に、ハマスが人質50人を解放することを議論していると伝えた。イスラエルも自国内のパレスチナ人囚人を同数釈放する案を検討しているが、停戦期間をめぐって双方の意見の相違が大きいという。バイデン氏は、「希望的に見ている」と述べ、交渉が間もなく妥結する可能性を示唆した。
カイロ=キム・ギユン特派員 pep@donga.com