「2006~2021年に計約280兆ウォンの予算を投じたが効果がなく、少子化の底なし沼から抜け出せずにいる」(日本読売新聞)
「政策立案者が青年と女性の話を聞かない」(英BBC)
昨年第4四半期(10~12月)の韓国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む平均の子どもの数)が0.65人と世界最低水準になったことを受け、先進国の主要メディアは関連ニュースを大々的に報じた。先進国の少子化は世界的な現象だが、韓国は他国とは比較できないほど速いスピードで下がっているからだ。
主要メディアは、過大な私教育費、仕事と育児の両立ができない、男性の育児分担不足など、韓国社会が抱えている様々な問題点を集中的に取り上げ、急激な出生率の低下を懸念した。
●「ノーキッズゾーンに塾ぐるぐる、韓国脱出」
朝日新聞は29日、韓国の「超少子化社会のリアル」をテーマに8回の深層報道シリーズ「A-stories」の連載を開始した。記事には、韓国で長年大企業に勤め、日本に移住した39歳の韓国人女性が登場した。
彼女は、「夫と2人で年間1億5千万ウォンを稼いでいるにもかかわらず、育児費用の負担が大きかった」とし、「若者はこのような先輩を見て『あんな風になりたくない』と思う」と韓国の現実を伝えた。彼女は、子どもを連れて入ることができない「ノーキッズゾーン」カフェ、幼い頃から夜遅くまで塾をはしごしなければならない状況を指摘し、「韓国は、子どもを育てたくなく、子どもを持ちたくても持てない社会になってしまったようだ」と話した。
読売新聞は同日、「韓国政府は2006~2021年に計約280兆ウォンの予算を投じたが効果がなく、少子化の底なし沼から抜け出せずにいる」と指摘した。今年、新入生がいない小学校が全体の2.5%にあたる157校にのぼることを取り上げ、このままでは年金制度の破綻や労働力不足に直面するだけでなく、兵員不足で安全保障まで脅かしかねないと強調した。
公共放送のNHKも最近、不動産価格の上昇でマイホーム購入や家賃の負担が大きくなり、雇用が不安定なため、若者が結婚を控えていると報じた。
●「韓国の出生率、世界的にも極端」
英BBCは先月28日(現地時間)、「世界的に出生率が減少しているが、韓国ほど極端ではない」とし、その背景を分析する記事を掲載した。韓国の政策立案者が少子化に対する青年と女性の声を聞かないという批判があり、独自に複数の韓国女性にインタビューした。
インタビューに参加した女性たちは、女性に家事と育児の重点が置かれている点や高すぎる住宅価格と私教育費を出産を敬遠する要因に挙げた。特に、子どもたちが4歳から数学、英語、音楽などの高額な塾に通う過度な私教育負担について語った。英語講師のステラさん(39歳)は、「子ども1人当たり月に700ポンド(約120万ウォン)まで使うのを見た」とし、多くの親がこれだけの金を投じなければ子どもが後れを取ると考えていると話した。
30歳のテレビプロデューサーのイェジンさんは、「家事と育児を分担する男性を見つけるのは難しい」と話した。BBCはまた、「過去50年間、韓国経済は女性の高等教育と就職を促進し、野心を拡大するなど驚異的なスピードで発展したが、妻と母親の役割はほぼ同じスピードで発展しなかった」とし、「これが問題の核心」と診断した。女性の社会進出が増えた分、女性の育児と家事労働が男性と分担されなければならないが、韓国ではそうなっていないという話だ。
英紙ガーディアンは、「数十億ドルの政府政策にもかかわらず、韓国の人口危機はさらに深刻化した」とし、日本が戦後最低の婚姻件数を記録したことと共に、東アジア諸国の少子化現象に注目した。同紙は、「高騰した育児費用と不動産価格、良質の雇用の不足、極端な教育体制などで出産誘引政策が失敗している」と指摘した。
東京=イ・サンフン特派員 パリ=チョ・ウンア特派員 sanghun@donga.com