昨年10月、A国で発生した国防科学研究所(ADD)の暗号装備盗難事故は、ずさんな管理が原因だったことが新たに判明した。簡単に破損できる木箱の中に保管していた上、セキュリティの確認を一度も行わないなど維持管理に関する規定を違反した。
外交筋は、「ファックス用暗号装備であるNX−02Rをセキュリティ規定に反して、木製の箱に保管していた上、この箱を、施錠をしていない木製の本棚に入れてあるだけだった聞いている」と明らかにした。関連規定は、「暗号装備は錠付きの鉄製保管箱に保管しなければならない」と定めている。しかし、ADD事務所には、中にさえ入れば本棚を開けて暗号装備を簡単に外せるほど、管理がずさんだったという。実際、昨年10月に盗まれたことに気付いたとき、木箱は取り外されていたという。NX−02Rは保管箱さえ破れば、簡単に運び出せるアタッシェケースほど大きさの機器だ。
またADDは、NX−02RがA国に配置された後、一度もセキュリティの確認を行わなかったことが判明した。外交筋は、「NX−02Rが最初にA国に配置された後、装備がちゃんとあるのかを確かめるADD本部レベルのセキュリティ点検が一度もなかった」と話した。暗号装備の管理責任者は月に1度は装備を点検しなければならないのだが、これも行われなかった。
政府は、暗号装備をなくした事実をA国にまともに知らせてもいなかったという。地元警察に捜査協力をしてもらうためには、装備の仕様や性能、用途などデリケートな内容の露出が避けられないからだ。