米国のカーター元大統領が設立したカーター財団が18日、内乱陰謀と扇動の容疑で裁判を受けている(イ・ソクキ)前統合進歩党議員らの救命のために声明書を出した。声明書は、「李石基議員の有罪判決が、軍事独裁時代の1987年以前に確立された非常に抑圧的な国家保安法の規定に基づいて下された」と主張した。カーター氏は、「韓国がアジアと世界で人権指導者として必要な役割をするには、国家保安法のために危険に直面した人権に関して、すべての(韓国)市民が透明で民主的に議論できるよう機会が開かれなければならない」と主張した。ノーベル平和賞を受賞したカーター氏が誤った事実関係に基づいた批判をしたことは残念だ。
李氏の容疑には国家保安法違反もあるが、主な容疑は内乱罪、すなわち刑法違反だ。李氏は1審で内乱陰謀と内乱扇動で有罪判決を受け、控訴審では内乱陰謀で有罪判決を受けた。韓国の憲法裁判所が統合進歩党に史上初めて政党解散の決定を下したのも、李氏の内乱罪のためだ。カーター財団の声明は、憲法裁の決定の前に出された。国家が存立する限り、内乱罪を処罰しなかった国はない。米国も内乱罪を罰しており、9・11テロ後には愛国法という強力な法を制定した。
声明書が民主化以前の国家保安法が李氏に適用されたように言及したことは明白な誤りだ。国家保安法は1991年に改正された。それでも毒素条項という批判を受けた第7条第1項の反国家団体称賛鼓舞罪と第5項の利敵表現物製作所持罪に対して憲法裁は2004年に「1991年の改正で悪用される素地が大幅に減った」として、裁判官9人の全員一致で合法決定を下した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代、国家保安法を廃止しようとする動きはあったが、世論の支持を得ることができず失敗した。カーター氏の人権時計は、米大統領だった当時、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の維新時代に止まってしまった感じを受ける。
カーター氏は北朝鮮を数回訪れた。カーター氏の訪朝は、米国と北朝鮮、韓国と北朝鮮の関係改善に貢献しようという善意にもかかわらず、独裁政権のスポークスマンの役割しかできないという批判を米国と韓国のメディアから受けたりもした。韓国の司法府は政治権力から独立して判決を下す。李氏の裁判に対するカーター財団の見解は、韓国の司法体系を無視するものだ。