土曜日の7日午後3時、ソウル九老区(クログ)のある喫茶店。全国高校生徒会の幹部生徒たちの集まりである韓国高等学校生徒会連合会の執行部会議では、甲高い声がひっきりなしに飛び交っていた。
それもそのはず、会議に出席した執行部員14人のうち、9人が女子生徒だった。
同日の案件は夏休みに開かれる生徒会のキャンプに関して。全国生徒会の幹部生徒200人あまりを招待するイベントだ。副議長役のハン・へミ(18、仁川芸術高校3年)さんが、キャンプのプログラムについて説明した。つづいてイベントの日数について議論が繰り広げられた。
「主な日程は学園祭や生徒会のノウハウに関する講義なのに、2泊3日は長すぎます。1泊2日にしたほうがいいと思います」
「他校の生徒会の友達とさまざまなことについて話し合うためには、2泊3日ぐらいないと足りないと思いますけど」
1時間近くつづいた議論の間、男子生徒の声はほとんど聞こえなかった。
結局、議長役のチェ・ソンホ(18、ソウル中央大学付属高校3年)君は、「メリットやデメリットをホームページに掲載して、全代議員の意見を聞いてみよう」という仲裁案を示した。これに女子生徒の代議員たちが賛成して、議論は一段落した。
約5時間行われた会議を見守った記者はチェ君に、「なぜ、男子生徒たちは意見を述べないの?」と尋ねてみた。
チェ君は照れくさそうな面持ちで、「この頃は女子生徒たちのほうが男子生徒より積極的だけど、生徒会幹部の女子生徒たちはさらに積極的なので、男子生徒たちの立つ瀬がなくなりました」と話す。
リーダー格の女子生徒の躍進が著しく、ほとんどの男女共学の学校でこのような風景を容易に目にすることができるようになった。
会議をリードするのも、最後の意思決定を下すのもすべて女子生徒たちの役目となったわけだ。
●大きくなった女子生徒たちの声
今の中高校は、女子生徒がリーダー階層全体の30%以上を占めた状態の「女性リーダーの一般化」段階に差しかかっている。
ソウル禿山(ドクサン)高校のシム・チュンボ教諭は、「今学期末に行われる全校生徒会長選挙への立候補希望者を確認したところ、4人のうち3人が女子生徒だった」としながら、「このような傾向が続けば、クラス委員のみならず、数年後には生徒会長が女子生徒の学校も半分ぐらいになるだろう」と予想した。
このような状況の下、「パワーガール」はかつて、女子生徒たちが相対的に疎外された分野でも影響力を行使している。
教べんをとって9年目になるソウル高麗(コリョ)大学付属中学校のソン・ミョングォン教諭はここ数年、体育大会の準備風景が様変わりしたと感じている。
わずか数年前まで、女子生徒がクラス委員なら、体育大会を控えて、男子生徒たちが女子のクラス委員抜きに、男子生徒たちだけで出場選手のリストを組んで練習を行った。
だが、最近は違う。ソン教師は、「女子の生徒会長が女子相撲や女子サッカーのような種目を取り入れるように提案したり、男子生徒たちが出場をめぐってケンカを始めたら、女子クラス委員が出て調整したりする様子もよく目にする」と話す。
さらに、女子生徒たちは性差別的な要素のある学校規定を許そうとはしない。
ソウル中央大学付属高校(中大付高)の金ヨンラン教師は、「今月はじめ、全校生徒会長候補に名乗りを上げた女子候補が『女子生徒も運動靴を履けるように認めてほしい』という公約を掲げたことで、多くの女子生徒の支持を得て当選した」としながら、「このような公約は男子生徒だけが会長選挙に出馬した数年前までは見られないことだった」と述べた。
中大付高では生徒会長が選挙公約として取り上げた規定を変えることを検討している。
●女性リーダーに対する否定的イメージもなくなる
これまで、成功した女性には「自分のものばかり大事にするたちの悪い人」というイメージがあったのも事実。男性はもとより、女性たちもこのような認識を持っていた。
学校内の女性リーダーたちは従来の女性リーダーに対するこのような否定的なイメージも変えつつある。
京畿安養市(キョンギ・アンヤンシ)の聖文(ソンムン)高校でクラス委員を務めている2年生の李キョレ(17)さんは、学期初めのクラスメート同士の気まずさをなくすため、「マニト(守護天使)ゲーム」を提案した。
マニトとは、「内緒の友だち」という意味のイタリア語で、くじ引きなどで決まった友だちの守護天使となり、内緒で見守ってあげるゲームだ。
クラスメートたちと早く仲良くなりたいという気持ちはあるものの、それができず、1年のときからの友だちとばかり話し合っていた生徒たちは、李さんの提案を喜んで受け入れた。
このクラスのチェ・ジンヒョク(17)君は、「男子のクラス委員はクラス内の集団同士の圧力があっても気づかないことが多く、わかっていてもほっておくケースが多いが、女子の委員はみんなを一つにまとめて取り組みたいと頑張る傾向がある」と話す。
女子生徒リーダーたちが「これをしなさい」というよりも、「これを一緒にしよう」と、範を示すリーダーシップを発揮したことも「女性リーダー=理解の深いリーダー」というイメージを作り上げるのに一役買っている。
韓国三育(サムユク)高校のチャン・ジョンファン(生徒部長)教諭は、「女子生徒のリーダーは、自分で掃除道具を手にして床を掃きながら、『いたずらはやめて早く掃除しよう』と説得するので、相手が反発しづらい。学園祭などの学校のイベントのときも、できるだけ多くの生徒たちに参加のチャンスを与えるのが女子生徒のリーダーたちの強みだ」と語る。
何より入試への負担の大きい韓国の現実で、次第にリーダー格の女子生徒たちが増えることだけでも、女性リーダーに対する認識変化に役立っている。
倉洞(チャンドン)高校のクァク・ドンチャン教諭は、「入試という大きな山があるので、韓国の青少年たちは中高校時代に自主活動を行うのが容易ではないが、最近の女子生徒たちの自主活動への意思は非常に強い」としながら、「女子生徒たちが自主的に生徒会や部活に時間や努力を費やすことだけでも、生徒たちから尊敬される」と述べた。
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