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五輪一筋で韓国へ渡り帰化した卓球代表の唐汭序

五輪一筋で韓国へ渡り帰化した卓球代表の唐汭序

Posted July. 30, 2008 03:15,   

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北京五輪で韓国の五輪参加史上初めて「純血主義」が破られた。韓国が初めて参加した1948年ロンドン五輪以後、60年ぶりのことだ。

純血主義を破った主人公は、身長158センチの唐汭序(タン・イェソ、27、大韓航空)。中国吉林省長春出身で、昨年末に韓国に帰化して五輪出場のチケットを手に入れた。

韓国に生息するセミの中で、アブラゼミというのがいる。オスの場合、全長3.1センチぐらいのこの小さいセミは、生まれた後、地の下で幼虫として6年を生き、7年目になる年に外へ出て皮を脱いで成虫になる。

●「6年間『地下の生活で』私を守ってくれたのは卓球」

唐汭序が五輪の舞台を踏むまでの過程は、アブラゼミが成虫になる過程にそっくりだ。01年大韓航空の練習パートナーとして韓国の地を初めて踏んだが、今年初めまでの6年間、ずっと「陰」に居た。国籍が中国だったため、国内で行われる大会にはまったく出場することができなかった。

しかし、唐汭序はその時、すでに「実力者」だった。卓球世界最強の中国国家代表の常備軍の1人だった。韓国を選んだのは、ただひたすらに五輪に出場するためだった。中国では代表チーム内での競争が激しく、五輪出場選手に選ばれる可能性がほとんどないと判断したのだ。中国の卓球代表チームの常備軍は約50人。主力として活躍する6人ぐらいを除いては残りは主力のトレーニングパートナーに過ぎない。

それでも韓国行きは冒険だった。ひとえに五輪舞台を夢見ながら6年間「地下の生活」に耐えてきた。金浦(キムポ)の選手団宿舎と体育館だけを行き来する、卓球一筋の人生だった。それほど長い間韓国に滞在していたが、唐汭序の韓国語はまだ今ひとつである。韓国語を覚える時間まで卓球に尽くしたためだ。

昨年末の帰化は唐汭序にとうとうチャンスをもたらした。トレーニングパートナーという足かせを外すと、国内では太刀打ちできる相手がなかった。代表選抜戦をトップで通り、五輪出場チケットがかかっていた5月の日本オープンでは従来の「卓球女王」であり、現在世界ランキング5位の王楠(中国)を下す波乱を起して出場権を獲得した。今年初めまで世界ランキングに名前すら乗っていなかった唐汭序は、わずか数ヵ月で世界26位まで順位を押し上げた。

●「中国の誰とでも立ち向かえる唯一の韓国代表選手」

23日、泰陵(テヌン)選手村の卓球代表チームの練習が真っ最中の凱旋館。休憩時間を利用した記者とのインタビューもきっぱり断った。卓球以外のことには気を使いたくないという。

玄静和(ヒョン・ジョンファ)代表チームコーチは、唐汭序を「中国のどの選手とも対等に競技できる韓国代表チーム唯一の選手」と評価する。右手のシェイクハンドの典型である唐汭序は、競技のテンポを自由自在にコントロールできる上、バックハンドと守備力にも長けているオールラウンドプレーヤーである。

韓国女子チームは今回の五輪で初めて導入された卓球団体戦で銀メダルを目指す。唐汭序は言うまでもなくエースだ。4シングル1ダブルスから成る団体戦で、ダブルスはキム・ギョンア(大韓航空)—パク・ミヨン(三星生命)組に決まっている。ダブルス組の選手は、シングルでは1試合しかプレーできない。2度のシングルに出場する唐汭序は、それも相手の機先を制する1シングルと接戦の時に勝利を確定付ける4シングルに出場するものと見られる。

唐汭序のこれまでの人生は五輪に狙いが定められていたため、以後の人生については何もかも疑問符が付けられている。成虫になってから1〜2週間で命が尽きるアブラセミと違い、今大会は 唐汭序の卓球人生の終わりではなく、始まりであるに間違いない。



kimsk@donga.com