韓国語の「センテ」(生のスケソウダラの意)は、凍らしていないスケソウダラのことだ。スケソウダラは食べ方によって、その名前がさまざまだ。凍らせたスケソウダラは「トンテ」、干し物のスケソウダラは「コンテ」と呼ぶ。コンテも、季節を問わず干したものは「プゴ」と言うが、特に東海岸で冬場に凍結と解凍を繰り返して干したのは、黄色くなることから「ファンテ」と呼ぶ。「コダリ」は内臓を取り除き、半分ぐらい干したスケソウダラを指し、「ノガリ」は2、3年ぐらいのスケソウダラの子を指すが、主に干し物にして食べる。「ミョンラン」はスケソウダラの卵、「チャンラン」はスケソウダラの腸のことだが、それぞれミョンラン塩辛、チャンラン塩辛などと塩辛として漬けて食べる。
◆スケソウダラは、世界でもとりわけ韓国人が好む魚だ。スケソウダラの漢字「明太」は、中国から由来した言葉ではなく、韓国語だ。日本は、スケソウダラを「スケトウダラ」もしくは「スケソウダラ」と呼んでいるが、韓国語の明太を外来語として受け入れ、「メンタイ」と多く呼んでいる。日本には、生のスケソウダラ鍋やトンテ鍋、プゴスープなどはない。スケソウダラを、かまぼこの原料として使うぐらいだ。欧米でも、スケソウダラを鱈科に分類しているが、アラスカポーラック(Alaska Pollack)と言って、鱈(Cod)とは区別してあまり食べない。英国の伝統的食べ物である「フィッシュアンドチップス」には、鱈が主に使われ、スケソウダラは安価な代案として使われるぐらいだ。フランスでも、鱈料理は多いがスケソウダラ料理はない。
◆スケソウダラは、かつて東海で多く水揚げされたが、今は海洋環境の変化により、国内の遠海や近海では姿を消して久しい。今日、スケソウダラは主として日本の北海道周辺の海やロシア周辺のオホーツク海、ベーリング海などで水揚げされる。国内で消費されるスケソウダラは、そのほとんどがロシアや日本から輸入される。ほとんどのロシア産である凍らせたスケソウダラは、遠洋で水揚げされ、冷凍させた状態で運ばれる。短い輸送期間が肝心の生のスケソウダラは、遠海や近海で取れ、冷蔵状態で輸送されるため、100%日本から持ち込まれる。
◆日本福島原発事故による放射能汚染の懸念のため、ソウル可樂洞(カラクドン)や鷺梁津(ノリャンジン)水産市場で、日本産生のスケソウダラを買う客が消えたと言う。日本産太刀魚やサバも同様だが、太刀魚やサバとは違って、生のスケソウダラは、日本を除いては輸入できる国などない。このままいけば、生のスケソウダラ鍋を専門に扱う飲食店も、相次いで閉店を余儀なくされている。いつからか、韓国産生のスケソウダラが消えて残念に思ったが、輸入の生のスケソウダラさえ、目にできなくなる日が来るのだろうか。
宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com