Go to contents

ジェイ・Zとカニエ・ウェスト、似ているようで異なる2人

ジェイ・Zとカニエ・ウェスト、似ているようで異なる2人

Posted July. 22, 2013 03:55,   

한국어

大憲章と聖杯、そしてイエス…。

米国のヒップホップ界を支える2つのトップ、ジェイ・Z(ショーン・コーリー・カーター)(44)とカニエ・ウェスト(36)が、最近出した新作アルバムで、音楽界のルールを破っている。ジェイ・Zの11枚目のアルバム「マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル」とウェストの6枚目のアルバム「Yeezus(イーザス)」。

2人は、新しいアルバムで再び対抗した。2011年の共同アルバム「ウォッチ・ザ・スローン」(ビルボード・アルバムチャート1位、ビルボード・アワード7部門候補)で王座を分け合った2人だ。勝者は1人だろうか。

●マキシマリズム、ミニマリズム

それぞれ4年と3年ぶりのリリースとなる両ラッパーのレコードは、ヒップホップの虚勢と大胆さ、それ以上だ。

今週、ビルボードのアルバムチャート1位になった「マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル」は、発売前にミリオンセラーになった世界の音楽史上初のアルバムだ。三星(サムスン)がアルバム発売3日前にギャラクシーのユーザーに先行独占公開するために、「マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル」のデジタルレコードを100万枚先買いしたためだ。ビルボードは、この販売量を順位に反映しなかったが、ジェイ・Zは無難にチャートのトップに立った。アルバムは、英ウィルトシャーのソールズベリー大聖堂にある大憲章(マグナ・カルタ)の4つの原本の1つの隣に展示されている。

ビルボードのアルバムチャートの頂上から下りてきた(今週6位)「イーザス」は、アルバムのジャケットがない。一見すると、空っぽのCDのように見える。「イーザス」は、ウェストのニックネーム「Yeezy」と「Jesus」を合成した言葉。3曲目のタイトル(「I Am A God」)の隣に「feat.God」と書き添えた。ダフト・パンク、フランク・オーシャンが加わった音楽では、大きな音の粒子がぶつかり合う聞き慣れないタイプのミニマリズムを披露した。

●ブルックリンービヨンセ、シカゴーカーダシアン

ジェイ・Zとウェストはいくつかの点で似ているが異なる。

ジェイ・Zは、米ニューヨーク・ブルックリンの貧民街で生まれた。麻薬を売り、貧しく育ったが、優れたラップのテクニックと作詞力、事業の手腕で一気に頂上に上りつめた。ウェストは、アトランタで事業家と教授の両親の間に生まれた。シカゴで裕福に育ち、アリシア・キーズ、ジャネット・ジャクソン、ジェイ・Zの曲を作る作曲・編曲プロデューサーをし、ヒップホップ界のブレーンとして活躍していたが、直接マイクを握って野戦に飛び出したのだ。

ジェイ・Zはウェストのプロデューサー能力を利用し、ウェストはジェイ・Zの手に引かれて舞台に出てきた。ウェストは、ヒップホップ史の傑作と呼ばれるジェイ・Zの「ザ・ブループリント」(2001年)のプロデューサーとしてスポットライトを浴びた。

個人史も対照的だ。ジェイ・Zは、2008年にポップスターのビヨンセと結婚し、昨年娘のブルー・アイビー・カーターが生まれた。未婚のウェストは、昨年から交際しているテレビスター、キム・カーダシアンとの間に今年6月、娘ノース・ウェストが生まれた。

●再び分かれた玉座

音楽評論家のカン・イルグォン、キム・ポンヒョン氏は、現在ラップ界を代表する2人のビッグスターにジェイ・Zとウェストを挙げるのには躊躇しなかったが、新作については異なる評価を下した。

カン・イルグォン氏は、「ジェイ・Zは、成長の背景であるストリートの荒々しい素材を奇抜な脚韻と隠喩、象徴に表わすラップのテクニックで、ヒップホップ史に挙げられるほどだが、音楽的な面で今回のアルバムはウェストの勝利だ」と述べた。キム・ポンヒョン氏は、「10年以上頂上を守ったジェイ・Zと雲泥の差だったウェストは、努力の末同レベルに立った。前のアルバム「マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー」でマキシマリズム(華やかで誇張された形態の芸術的傾向)の極致を見せたが、新作では実験の道に進みすぎた」と批評した。

ヒップホップの精髄を見せたジェイ・Zの新作アルバム「マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル」と弛まぬ実験でヒップホップの境界を越えたカニエー・ウェストの新作アルバム「イーザス」のジャケット。収録曲の中で最高の評価を受ける「オーシャンズ」(ジェイ・Z)と「ニュー・スレイブス」(ウェスト)は、いずれも黒人奴隷史の過去と現在の風刺がこめられている。