ウクライナのクリミア自治共和国のロシア帰属を問う住民投票日(16日)を控え、クリミア半島の軍事的緊張が高まっている。
ロシア軍は10日、クリミア自治共和国に駐留中のウクライナ海軍基地に自動小銃を撃って乱入したほか、シンフェロポリ軍病院を占拠した。これに対してウクライナ軍も大規模な演習に入り、北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ隣国のポーランドとルーマニアに空中早期警報機(AWACS)を飛ばし、ウクライナの軍事的状況を注視している。
クリミア自治共和国のアクショーノフ首相は、住民投票を実施する前に1500人規模の独自の陸軍と海軍を創設する計画だと明らかにした。また、ウクライナ艦隊と一部エネルギー国有企業を自治共和国の下に置く考えを明らかにした。
一方、ロシアのラブロフ外相は10日、米国が提示した仲裁案を拒否し、ロシア独自の仲裁案を作成してプーチン大統領に報告した。ケリー米国務長官は、「ロシアがクリミア半島からまず撤収すると約束するまでプーチン大統領との交渉はない」と述べたと、BBCが11日報じた。
米上院外交委員会は11日、ロシア政府関係者や銀行、企業を制裁対象リストに含めることを話し合った。英国のキャメロン首相は、欧州連合(EU)も11日にロシア旅行の禁止とロシア政府要人18人の資産凍結など追加制裁を協議したと明らかにした。これに対してロシアのノヴァク・エネルギー相は、ロシアが欧州に輸出する天然ガスの価格を今後20年間で23%引き上げるとし、欧州に圧力をかけた。